片山恭一 「言葉にかまけて」 accrete

愛媛新聞購読者に無料配布される小冊子「accrete」
40ページ足らずの月刊誌である。
数年前から巻頭言の形で作家・片山恭一氏がコラム「言葉にかまけて」を書いている。
今月号は「平和」


現在の日本は、戦争がないという意味では平和かもしれない
でも平和だから安全であるとは、かならずしもいえない気がする
目下、身近なところでぼくたちの安全を脅かしているのは、先ずは放射能であり、
もう少し視野を広げると、ウイルスやテロということになるだろう。
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テロに国境は無い
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領土や国家を基準にした「平和」という考え方は、かなり修正されなければならないだろう
あまり「国防」の姿勢を強く打ち出すことは、かえって日本人の生命を危険に曝すことにもなりかねない。
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われわれは憲法九条を擁して平和をめざす国民である、と世界にアピールした方が、
テロなどに遭遇する危険性は小さくなるかもしれない
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軍備をもたない小さな国を中心に多くの支持を得ることで、
日本人が海外で様々な活動をする際に、安全保障の役割を果たすかもしれない
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国家や軍備だけでは、ぼくたちの生命は守れない
一人一人の生命をいかに守るかということを、ぼくたちは当事者の立場で考えていかなければならない。
そこから新しい「平和」が定義されてくると思う


「平和」の反対語は「戦争」ではありません。
「平和」の反対語は「混乱」です。
 
「テロに国境は無い」と書いていますが「正義に国境はある」といえるのかどうか。
「テロに正義は無い」といえるのかどうか。
「万民に愛される正義はある」といえるのか。
 
治安が安定しておれば、家の鍵をかけずに外出して良いのか。
鍵をかけずに外出した方が、治安は安定するのか。
悪事を働かせない(悪意創生を阻止するためには)ためには、鍵をかけたほうがよいのではないか。


無防備は悪事を誘発する。
「平和にかまけていては、テロに遭遇する」
 
言葉にかまけていては、世界は見えないだろう。