洲之内徹

開催中の「洲之内徹と現代画廊展」に寄せて、
愛媛新聞に「洲之内徹を語る」と題するシリーズ記事が出ている。
ゆかりの人々に通して洲之内を語ってもらう内容で、
一回目は細密描写で知られる木下晋。
 
*
洲之内徹を語る
ーーそのまなざしをたどって  画家:木下晋 *自分らしく見る自由
 
前略
 
洲之内は、あくまで自分自身の目で作品と向き合った。
木下は、徹底したその姿勢にぞっとしたことがある。
連載の人気の高まりとともに画廊に絵を見せに来る人が増える中、ある日リュック一杯の絵を
持った若夫婦が訪ねてきた。一見すると「箸にも棒にもかからない」絵だったが、洲之内は一
枚一枚丹念に眺めた。木下は知り合いの作家を連れてきていたが、原稿待ちの編集者も、客人
も待たせ数時間。しびれを切らし皆帰ってしまう中、結局朝まで千枚近い絵を見続けた。
すばらしい作品があった訳ではない。ただ洲之内は「悪いなりに何でこの線が出てくるのか、
この色が出てくるのかを知りたかったんだ」と言ってのけた。
「背筋がぞっとした。この人にはかなわないな、と」。
 
後略


洲之内のこの気持ちはよくわかる。
私のオーディオもある型式の製品が複数あったりする。
それは箸にも棒にもかかる一流品なのだが、
なぜこれがこんな評価をされるのか怪しげなバックグラウンドを感じて
それを確かめたい思いがあるからだ。