上灘あたり
打ち寄せる波で、波打ち際は濁っていた。
消波ブロックに砕けた波は、飛沫になって道路に流れてくる。
ヘルメットスクリーンに飛沫を感じるようになったので、塩屋から山側の県道に入った。
本谷で引き返そうかと思ったが、もうすこし進んでみた。
国道から見える山麓の洋風の館。
風が強く、潮騒の音も聞こえてくる。
案外ここは静かな環境で無いかもしれない。
こんなところに別荘でも有ればいいと思っていたが、冬の季節風の時期は、静かにゆっくりと暖炉の前で、なんてことは本当の洋館で無ければならないかもしれない。
ヘルメットを通して、轟々と波の音が聞こえる。
明神山の南ふもとを中央構造線の谷伝いに帰ることにする。パン屋107は、本日分完売していた。
家に帰ると、雲間から陽光が射していた。
「トラ、トラ、トラ」の一場面を思い出した。