「アニメーションと私」 by 近藤勝也 (後編)

書庫と申しますか、カテゴリーと申しますか、

「日記」で括るには無理があるので、公共・報道関係にしました。


既に午後3時15分を回っている。
野間さんの用意したパソコンを使ってようやく講座らしい展開になった。
 
映し出した画像は「コクリコ坂から」の解説書から取ったようだ。
スキャンしたのか、どっかのWebから引いたのか、データを正式に提供を受けたのか分からない。
 
キャラクター設定の変遷、経緯という話になった。
初期のキャラクター風貌と実際に公開された風貌が違う。
これは先般の近藤勝也展で見たときにも書いた。
具体的には松崎海のお下げの位置について、初期には近藤さんが描いた海は
お下げの位置が下の方にあった。
所謂三つ編み、お下げである。
ところが、検討を重ねるうちにだんだん高い位置でお下げを結ぶようになった。
所謂ツインテールに近くなった。
宮崎吾郎監督、もしくは宮崎駿氏の意向である。
注意すべきは、ここの会話には「ツインテール」という語彙は使われなかった。
ツインテール」は萌え属性の言葉であり、それを避けたのかもしれないし、
私としても、ジブリ作品に「萌え」を曳いて欲しくないと思っている。
古い「お下げ」と新しい「ツインテール」との微妙なバランス感覚を大事にしているのかもしれない。
イメージ 3


カルチェラタンの住人達の話になった。
何十人もいる諸君の顔がみな違う。
各部員はそれぞれ名前が付けられていて、性格も決められている。
それぞれ元になった実在人物がいるそうで、化学研究部の一人は高畑勲氏らしい。
宮崎駿氏もモデルになっていることをどこかで聞いた。
 
モデリングで一番難しかったのは生徒会長の水沼史郎だという。

女性からも男性からの信頼されるキャラクター。


アニメーションの作画上でのアニメーターの仕事という話。
「崖の上のポニヨ」で宗助が水辺で水に入るシーン
半ズボンの裾を少し持ち上げる。
ポニョがラーメンを初めて食べるシーン
こぼれ落ちている欠片をつまんで食べる。
海がきこえる」で電話をかけるシーン
靴下やスリッパをいじりながら電話をかける。
これらのきめ細かい動作は、絵コンテには描かれてないので、
アニメーターが付け加えることになる。
腕の見せ所らしい。
 
このあたりの話は、逐一パソコンの動画を再生しながら進める。


海がきこえる」はジブリがアニメ化するとき、近藤さんは反対したそうだ。
挿絵を描いたのに反対したのは、アニメ化する意義がないというか、
普段の日常を描いた物語なので、人が空を飛んだり戦闘場面などの
非日常性の無い物語だったからだ。
ところが、
日常をアニメ化すると、とても面白いことが分かった。
 
日常をアニメ化するとごまかしが効かないからだ。
 
コクリコ坂から」では、海が朝食の支度をするシーンがあるが、これが難しい。
観客の感度が無意識のうちに上がる。
ウソの所作はすぐにばれるので、手抜きが出来ない。
 
(海ちゃんの支度シーンをスクリーンに映しながら)
野間さんもノッテいる。
 
日常を描くアニメもオモシロイ
新作も日常生活のオンパレードだそうだ。


さて、時間はどんどん過ぎていく。
お絵かきタイム、色紙に近藤さんが絵を描く。
 
一枚目は「魔女の宅急便」のキキとジジ
二枚目は「崖の上のポニョ」のポニョ
 
カメラで描くところを捕らえてスクリーンに投影。
私は「今だ!」と意気込んでスケッチ!
ポニョは見るだけにした^^;
イメージ 1
まず水色で下書き
そのあと、輪郭を描く
そして色鉛筆で軽く彩色した
こんな感じ
イメージ 2
 

この二枚が抽選で受講者にプレゼントされた。


出来上がりを近藤さんが掲げていた時、
私の左、少し離れて中央付近の男性は堂々とフラッシュを焚いて写真を撮っていた。
むむ~~、怖いもの知らず。

関係者??


このあと、質問タイムとなった
(後編+)につづく