終戦のエンペラー

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映画「終戦のエンペラー」を観た。
 
先日「風立ちぬ」を見たときに予告編で知った映画である。
最近、「キネマ旬報」を読まなくなったので、知らなかった。
 
GHQ天皇の戦争責任を如何裁くか、それに至るまでの話である。
 
テニアン島のB29にウラニウム原子爆弾リトルボーイ」を積み込む映像(当時の記録映像?)から始まる。
 
アメリカ人の男ぶりを見せ付けてやろう」
と言って
コーンパイプを銜え降り立つ。
 
マッカーサーの軍事秘書官のフェラーズ准将は
「この戦争の真の意味での責任者を探せ」
という特命を受けて行動を開始する。
しかし、フェラーズにはもうひとつ、しなければならないことがあった。
それは、
恋人の消息を掴むこと。
恋人の名前は「アヤ」と言って、架空の人物らしい。
だから彼女に関わる親族は架空の人物ということだ。
アヤの伯父・鹿島を西田敏行、鹿島の妻を桃井かおりが演じている。
英語を話す人物は西田にとって初めてのことかな。
 
アヤはアメリカ留学中にフェラーズと知り合い恋仲になるが、
日米の衝突で恋が成就できないという設定だ。
 
フェラーズは親日家で、日本女性に好意を持っていたことは間違いないので、
こういうフィクションが許されて、物語の核心部分を形成している。

映画の最終部分の天皇マッカーサーの出合いは、
戦中戦後のあれこれに興味があれば大体知っていることであり、
玉音放送音源争奪戦は「日本の一番長い日」で描かれた。
 
この映画は初めて皇居で撮影が許可された歴史的作品らしい。
 
天皇をどう映像化するか、特にこの時期を映像化するには日本人映画関係者には
困難。
タブーと言ってもよかろうが、そこはハリウッド映画である。
ラストサムライ」でもそうだったが、日本映画では不可能な映像化を成し遂げている。

焦土と化した東京の風景はニュージーランドで撮影したらしい。
焦土の中にあっても、畑を開墾して作物を作っているらしい作り込みには唸ってしまう。
 
空港もニュージーランドだろう。
マッカーサーの乗ったDC-4の軍用型機が着陸する場面など、日本映画では不可能だ。

物語はフェラーズとアヤのフィクション場面が効果的に挟まれて
サスペンス面を盛り上げるに一役を買っている。
 
アヤは初音(!)映莉子が演じていて、どこか「ラストサムライ」の「たか」を思わせた。
あとで分かったことだが、キャスティング担当が同じ人だった。
 
日本映画なら、甲高い声の女優になるだろうとおもわれるが、
初音映莉子は落ち着いたアルトで周囲から浮き上がることが無くてよかった。
 
彼女はこの作品で初めて知ったが、画像検索すると映画と違う^^;

天皇マッカーサーに発した言葉は知ってはいたが、
こうして映像化された言葉を聞いて
体が震える感動を覚えた。
 
制作スタッフの緊張感が役者を通じて伝わってきた。
宮内庁次官関屋貞三郎を亡くなった夏八木勲が演じていた。
近衛文麿中村雅俊が演じていたのはあとで分かった(汗)。
木戸幸一伊武雅刀は出てきた時「やばい」と思ったが杞憂だった。

ラストサムライ」「サユリ」「硫黄島からの手紙」に続いて
日本映画四連敗

終戦関連映画作品がいろいろ出ているけれど、
風立ちぬ」よりは圧倒的に良かった。