「オフセット角をつけても意味は無い」 by 石塚峻

ラジオ技術9月号で石塚峻氏が
「本格的オーディオ・システム構築へ向けて (14)垂直トラッキング・エラーの問題」
と題して書いている。
 
中段の「オフセット角をつけても意味は無い」と題する文章


オフセット角を付けると、トラッキング・エラーを激減させることも出来ます。
“ことも”といったのは、日本やアメリカのアームには、勘違いからか、
ただ曲げただけのものが少なくなく、かたや英国製はほぼ正確な設定がなされていて、
±1.5度くらいに収まっているからです。
そのためには、オフセット角を20度くらいとし、オーバーハングも15mmくらい必要です。
ただ、こうしてトラッキング・エラーを減らしても、
サイド・フォースは少しも減らないどころか、
カートリッジのコンプライアンスが大きいほど針先までの実効長=オーバーハングが増えて、
サイドフォースが大きくなるというマイナスの面もあるというのを示したのが、第4図です。
(中略)
オフセット角を付けてトラッキング・エラーを減少させても、
むしろサイド・フォースを増加させてしまうことに注意してください。
オフセット・アームを考えた人はサイド・フォースの増加という副作用に考えが及ばなかったのでしょう。
 
実際の音溝は内周に向かって半径が少しずつ少していきますが、
減少の度合いは連続していません。
バリアブル・ピッチになっているのと、信号が刻まれているからです。
このことを考慮に入れると、サイド・フォースはめまぐるしく変化し、音溝の内外にかかる圧
力が偏ってしまうので、一定の力でキャンセルできるわけではありません。
シェルの水平回転が唯一の対策であり、
さらにこの回転シェルはラテラル・バランスがとれている必要があります。

英国製の正確なアームというのは借りて使ったことがあるというSMEのことです。
たぶん3009Ⅱでしょう。
ヴェスティガル・アームを入手してみて、必要針圧は公称値よりずっと小さいとわかったと書いているが、
甚だ怪しい^^;
「小さいとわかった」と書いたあと、話が変わってこんなことを書いている。
 
「当時ふつうのアームでは、トラッキング・エラー角はせいぜい±1.5度くらいに抑えられており、(以下略)」
 
「当時ふつうのアーム」とは、ただ曲げただけのアームだと思いますが、
正確に(SME同様)曲げられていたのですねえ、石塚さん^^)
 
 
引用の前半について
オフセッ角をつけてトラッキングエラーを減らしたが、サイドフォースの増加に考えが及ばなかったとは、
言いがかりとしか言いようがありませんね。
インサイドフォースキャンセラーを装備してないアームの設計者については、
そういうケチをつける余地があるかもしれないが、
インサイドフォースキャンセラーを装備しているアームの設計者は、
ラッキングエラーとサイドフォースを天秤に掛けて、どちらにも良いと思うキャンセラーを装備したのです。
それを「考えが及ばなかった」というのは、なにをえらそ~に。
 
引用の後半について
「減少の度合いは連続していません」
この「連続」という語彙は、不適格ですね。
「一定」の方が良い。
「減少の度合いは一定ではありません」
こちいのがいい。
 
サイドフォースがランダム変化するので対策には回転シェルが唯一の対策だそうですが、
なぜそうなのかの説明が記事中に無い。
 
 
イメージ 1
左の図は、回転シェルつきアームがレコード内周にさしかかった所である。
 
回転シェル派によると、シェルが回転してトラッキングエラーがゼロになるという。
 
よ~く見て欲しい。
これは逆J字アームそのものである。
アウトサイドフォースは、どっかに行っちゃたのかな?
 
 
 
 
回転シェルを考えた人はサイド・フォースの増加という副作用に考えが及ばなかったのでしょう。