続・SPUの不思議

イメージ 1オルトフォンSPUの発電ユニット

カバーやベースの色が年式、形式により変化するが、全体の形は同じと言っていい。

年式は、古いほうが良いと言う都市伝説がある。










イメージ 2
年式による違いは、カンチレバー支点の位置の違いである。

理想的な位置とは、コイルの中心軸とカンチレバーの中心軸の交点に支点があることだ。

製造初期は、理想位置に近いところに支点があったが、製造期間が延びるにつれて徐々に後退して行ったらしい。製造が楽になるからだ。

最近は、元の位置に近づきつつあると言う。

要は、発電効率と慣性質量の良否である。

イメージ 3
前の記事で、ねじの役割が分からないと書いた。
磁石の両端に鉄板をくっつけて、ねじをどんどん締めると、振動系を押しつぶしてしまう。
鉄板が斜めになってしまうから、張り付いていた鉄板が剥がれてしまう。

east_bredさんの実物分解検査で分かったことは、構造図面に描かれてない部分があることだった。
赤色で示した構造物がちゃんと用意されていた。

一番上の写真にある[ SPU Royal N ] とかいてあるモールドと赤色の構造物は一体成型で出来上がっていたのである。

構造図のねじは描かないほうが誤解を招かなかったのだ。
流石、オーディオ評論家は良く分かっていらっしゃって、何の疑問も抱かなかったのだ!
御見逸れしました^^;)。

さて、問題はこのモールドの精度である。
SPUを生かすも殺すもモールドの精度に掛かっている。
なまじ、ねじ止めをしたために、大変なリスクを孕んでしまった。
モールドが磁石と同じ堅さであれば、あまり問題は無い。
しかし、間違いなくモールドのほうが柔らかい。
同じ寸法だと、ねじを締めると必ず磁石と鉄板の間に隙間が開く。
それを防止するには、モールドを長く取り、ねじを締めると徐々に磁石に押し付けられるようにするのが良い。


磁石より長めにしておいて、徐々に締めることによって密着させる。
これは、工作大好き人間なら、即座と言うか、あったりまえだのクラッカーなのだ。

おそらく、製造初期には、職人さんは皆心得ていた。
ところがいつしか、
鋏、包丁、鋸、鉋、鑿、錐、小刀、肥後の神を触ったことが無い
組立工が配属されるようになった。
大量生産体制とはそんなものだ。

モールドの金型も磨耗していく。
新たに金型を作っても、設計図通りにしか作らない。

私は思うに、カンチレバー支点の位置がどうのこうのもあるが、
磁石に鉄板を貼り付けるノウハウが失われてしまったまま、
てきと~にねじを締めてしまっている現状。
分解写真を見ると、
モールドが痩せているんじゃないかと視認できる。
つっかい棒の役目を果たしてないと見える。

完璧に平面出しをした金属を互いに合わせると
ぴたりとくっついて離れなくなると言う。
それくらいの精度で磁石と鉄板を磨いておけば、
ねじなんか要らないのだ。

あ~、なんかイヤになってきた。
むなしい。

イメージ 4