95%(これでも甘いかな)の誤認率を誇るインサイドフォース

イメージ 1ここによくいらっしゃる、しんのすけさんのブログを拝見したら、表題の件で侃々諤々の議論が行われていた。
そもそもの発端は、ヤフオクに掲載された写真(左図)について語られたインサイドフォースの掛けすぎ云々の発言であった。
 
一度はちゃんと聴いてみたいEMTのカートリッジ。
バン・デン・フルその他がモデファイして元々高価だったものをさらに高価格で販売して、それなりに売れるという優れものである。
実は、近所のハードオフに在る(在った?)のだが、組み立て精度が悪くて、まあ、本当は高価だったので買わなかった。
代わりにMC30を買った^^;)。
 
左の写真でもお分かりのように、まったくなっとらん組み立て精度である。
フロントのお面が斜めになっていて、これが原因で、カンチレバーが斜めに云々、ということに見られてしまっている。
 
よ~くみると、お面が正確に取り付けられているとすれば、そんなにカンチレバーは本来の(設計の意図する)位置からずれておるようではない。
 
こんなふざけた組み立て精度でも、それを俎上に上げるのがはばかられるくらいの素晴らしいパフォーマンスを展開するのがEMTの凄いところなんでしょうね。
 
それはさて置き、一番下の写真について、カンチレバーが中心より右側にずれていることにして、何故ずれるのか。
それは、
「適切にインサイドフォースキャンセラーを掛けなかったからだ」と発端の記事は書いています。
 
まったく掛けなかったからなのか、掛けすぎたからなのかは、文章では確定できませんが、一応、まったく掛けなかった結果であると仰りたいのは間違いないでしょう。

イメージ 2議論の元記事に書いてあるインサイドフォースが発生する仕組みは、記事のとおりです
 
図のように、回転する円盤があったとします。
この円盤の適当な位置に青線のような力を加えると円盤は回転します。
 
この力が回転中心を通る場合(緑線)は、回転しません。
 
これが、トーンアームがインサイドフォースによって回転する理由です。
 
イメージ 3ほぼ100%の説明が、インサイドフォースによってカートリッジが「内側に引っ張られる」と書いていますが、大きな間違いです。
正しくは、トーンアームが回転しようとして「内側に押しやられる」のです。
 
「引っ張られる」に引っ張られて殆どの評論家、読者、メーカーが誤った認識を持つようになって、にっちもさっちもいかないオーディオ界であります^^;)。
 
左は、キャンセラー無しの演奏中の様子です。
 
イメージ 4カンチレバー支点の弾性で、微妙なバランスを保っています。
インサイドフォースキャンセラーを掛けても掛けなくても、微妙なバランス状態であることに変わりはありません。肝心なことです。
 
内側に引っ張られるのなら図1のようになるはずですか、なぜか図3になってしまう。
不思議とは思わないのだろうか?
音溝の魔力の所為なんだろう^^;)。