SAEC 針圧微増機構の思い出


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イメージ 2SAECの主な製品には、針圧微増機構が搭載されていた。
「搭載」と言うからには、派手な物々しい構造物が付属しているような印象だが、オーディオ界のあるある事情でおなじみの「なんだそれは」アクセサリーだった。

2ちゃんねるインサイドフォース論争だったか、カートリッジとトーンアームの話題だったかで、この針圧微増機構のことが話題になった。

大分前のことだ。

三角関数を持ち出して侃侃諤諤の論争があった。

ここで私は大きな間違いを起こした。

サエクのインサイドフォースキャンセラーはSMEタイプだった。頭のいいサエク設計陣は、キャンセラーバーがアーム本体に直接固定されていることを利用して、錘がバーを引っ張る方向変化を、針圧変化が伴うように配置したのである。この構造では、針圧変化が起きることに後で気づいたのかもしれない。イメージ 5

私は当初、キャンセラーバーに対して引っ張る上下方向の変化を針圧変化に加算していると思っていた。
真横に引っ張っていれば、変化はない。
下に引っ張っていれば、近くで引っ張れば強く働くし、遠くで引っ張れば、あまり効き目がない。

数学が達者な連中は、三角関数を持ち出して、サエクの発表している針圧変化を検証していた。大体正しいようである。
ところが、私の手持ちのサエクは実際には違っていた。
ほぼ水平に引っ張っているのである!
?????
私は途中で気付いた。
高さが問題ではなかった。
引っ張る水平角度が問題だったのだ。

真横に引っ張れば、アーム上下回転には何ら影響しない。イメージ 3

上下回転軸に近づく(遠ざかる)方向に引っ張れば、上下回転軸に回転モーメントが発生する。

カートリッジが最外周位置にあるとき、真横に引っ張れば、上下回転モーメントは発生しない。
針圧は、設定どおりである。
カートリッジが内周に近づくにつれ、引っ張り方向が変化し、回転モーメントが強くなる。
これが針圧増加の仕組みである。

これに気付くまで、私はおかしな理論を根拠に、へんな論陣を張っていた。
しかし、「これこれこうだから、君は間違っている」というやつは現れなかった。

このままではいかんと、恥を忍んで訂正した。

だから、今、インサイドフォースのことで似たようなことが起きてないか、ちょっと心配である^^;)。イメージ 4

WE-8000ST は、針圧微増機構は搭載されてない。

SAECになにがあったのだろうか?イメージ 6